去年もなかったが、今年もやはりない。
「盆踊り」
コロナ禍の去年と今年をのぞいても、盆踊り会場はどんどん少なくなっていた。
昔は、この季節、どこにいても聞こえてきたのに、今では耳をすませても聞こえない。
きっと、苦情がくるからだろう。
きっと、決して多くもない「苦情」の声に、何故か現代の管理者はビクビクする。
そして、季節の大切な行事が小さくなっていく。
運動会でさえ、声を殺している感がある。
別に盆踊りが好きなわけではない。
子どもの頃は踊りの終わりに景品目当てで、まぎれこんだクチである。
大人になってからは、冷めた目で踊りを見ていた。
それならばその場にいる必要もないくせに、そこは何故が見ていたりする(笑)
要するに、きっと嫌いではないのだ。
秘かに私が気に入っていたのは、電飾をつけている踊り子で(男性)毎年必ずいた。
コロナはいつか収束を迎えて、盆踊りも来年には復活しているかもしれない。
でも、会場の数が戻ることはおそらくないだろう。
なんとなく、そんな事をぼんやりと考えていた私の耳に届いたものがある。
「子ども盆踊り」だ。
え?
どこ?
そこはスーパーの中。
立ったままくるりと周囲を見た。
総菜コーナーのBGMだった。
わざとらしいほど可愛く歌っているあの歌だ。
スーパーにいる間、遠くに近くにあの歌が聞こえる。
さすがに誰も、子どもさえもリズムには乗っていない。
でも、なんとなく盆踊りの気持ちになった。
やっぱり、私は昔の子どもなんだ。
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