私の最近の日課に「歌う」がある。
なるべく朝のうちに声を出しておく。
今はまったく声が出ないので、少しずつでも声を出していかないと
いつか、口からは空気だけが漏れるようになりそうで、それがひたすら怖い。
歌う際には、だいたいお手本を耳にしながら一緒に歌う。
その私の現在の先生が「ベティママ」である。
大阪の有名ゲイバーのママなので、多くの人がご存じかと思うし、
多くのファンがおられると思う。
今ではゲイバーのママでありながら、実力派のシンガーでもある。
私も相当にファンだ。
![](https://raizansou.com/wp-content/uploads/2021/03/1196016_m.jpg)
今から25年くらい前に、よくテレビに出ておられた。
ベティさんに限らず、ひとつの「ゲイ」ブームで、
私がよく見ていた番組では「ミスターレディ」と呼ばれていた。
司会の上岡龍太郎さんに、「花を超えてセキセイインコの世界」と言われていたほど
色も匂いも発するような集団の、お姉さまたちがいた。
当時の私は、彼女?たちと上にも下にも歳が近かった。
何度もビデオテープを回して、楽しませてもらったものだ。
(実はテープからDVDに移し替えて今も見ている。今、Nowの話)
![](https://raizansou.com/wp-content/uploads/2021/03/1564395-1024x1024.jpg)
本当に女性になりたい人や、どう見ても「営業オカマ」の方。
女性と見分けがつかない人が多くて、驚くとともに世界の広さを知った。
手術をして、身も心も女性になっている人も多くいて、
過去、男性だったなんてとても信じられなかった。
どれだけの努力を、男性の肉体でしていたのかと、
同情とともに、尊敬をしていた。
そんな女性になりたかった方。
女性に生まれたかった方。
自分の性が一致していない事に悩んでいる方。
悩んだ末に見つけた世界。
その世界で輝きながら、それでもきっと心に根強くある葛藤。
テレビ番組では楽しく笑わせてくれているが、
一人で泣く夜もあるだろう。
![](https://raizansou.com/wp-content/uploads/2021/03/1524399_m-1024x683.jpg)
それでも、自分は女性であるから、女として自分を磨く日々。
真剣に女性になりたい人に申し訳ない
そんなお姉さまたちに、私は申し訳なく思う。
まったく、女の無駄遣いに暮れていた自分。
子どもの頃から、本来美しいはずの20代。
頑張りようによっては艶のある30代。
まだまだイケたはずの40代。
もう少し頑張れただろう50代。
いずれの時も、私はサボっていた。
![](https://raizansou.com/wp-content/uploads/2021/03/2412398-1024x1024.jpg)
それでも、私は戸籍も、多分見た目も女性である。
どれほどサボりまくっても、私は男性にはならない。
それに、甘えていたのだ。
かの人たちは、売っているのなら買うだろう。
絶対に女性である事実を。
そんなお金で買えない物を生まれながらにして持っている私は
彼女たちの苦労を知りながら、努力もせずに「女性」でいた事を申し訳なく思う。
許してくれとは言わない。
けれど、私は心底認めている。
その存在を。
私は、LGBTQ(今はQもあるんだって)に強い関心がある。
今は条件が整えば、ハードルは高いが戸籍を変更する事も可能になった。
すごい時代の進歩だと思う。
自治体にもよるが、パートナー制度も整備をされてきた。
同時に認めない自治体もある。
絶対に認めない人たちも多い。
この荒波に抗い、時に流されながら、泣き笑いをしている彼女たちに
大きな魅力を感じる。
その感動と魅力の大きさと同じくらいに申し訳なく思うのだ。
![](https://raizansou.com/wp-content/uploads/2021/03/2071350_m-1024x683.jpg)
申し訳なく思うけど、私はこれからも努力はしない。
おばさんを超えて、おじさんの域に達しているが
このままを突き進むだろう。
ただ、第三の性、第四の性、第五の性?
きりのない新しい性を私は違和感なく迎える事ができる。
いつか、同性間でも結婚が認められる日本になってもらいたい。
それにしても、ベティさん。好きです。