ギター弾き語り

「なごり雪」は永遠

「永遠に心に残る曲は?」って聞かれたら、私は「なごり雪」って答えると思う。

「なごり雪」以外にもあるけれど、なごり雪以外は結構迷うかもしれない。

・1974年
・作詞・作曲 伊勢正三
・イルカさんの代表曲

・カポ1
・コード C 原曲コードはFらしいです

Ak

難しいコードはほとんど無いよね。
Fが難しかったら簡略するといいよ(自分流で)

明来も未だにFがきれいに弾けません。
だから簡略です。

サビの部分(特に「君が去ったホームに…」)は
ストロークをおすすめします。

ただ、明来はストロークがものすごく苦手なので
極力避けています。
昔は弾けていたように思うんだけど、大きな音が苦手なのと
ピックが使いこなせないからです。
親指の脇でのストロークなら時々やります(笑)

AmからCに移行するときのベース音は是非入れてください!
(きれいになった…のところ)

これだけの名曲でありながら、弾き語るにはむずかしくないと思います。

アルペジオがまだ出来ない人も、静かにゆっくりなストロークでも十分に語れます。

静かな部屋で、人の少ない屋外で、たった一人のリスナーに弾き語るのって

いいですよ! やってみましょう。

そう。女の子は時間とともにきれいになります。

わたしの「なごり雪」

1978年(昭和53年)に私は高校を卒業した。

3月の日付は忘れたが。

わりとあっけらかんと、涙もなく、多少の惜別の思い出だけは残っている。

4月から札幌で働くことが決まっていたので、3月19日に故郷をでることにしていた。

4月1日までには時間があるのに、何故早くに家を出たのか…

それはあの家から一日でも早く去りたかったから。

高校1年の時に亡くなった母の納骨堂に旅立ちの報告をして、私はバスで市街の駅に向かった。

この町は好きだった。

けれど、あの家は心底嫌いだった。

好きな町、友人、そして家。

どれをとるかと言ったら、迷わず、家を出ることだった。

物理的な距離をとることだった。

バスを降り、駅に着いたら、何人かの友人が見送りにきてくれていた。

出る日にちと時間は言っていたと思うけど、見送りの約束は何もしてはいなかった。

けれど、少なくない友人たちを見て、さすがに胸は熱くなる。

一番、心を寄せていた友人もいる。

多く来てくれていたので、特別誰かと話すことはしなかった。

皆が駅の入場券を買って汽車の出るところまで付き合ってくれた。

まだ雪ののこるホームで、次々にかかる声を聞きながら、コクンコクンと頷いて、

ひとり汽車のデッキで、ガラスに手をつけて、ありがとう、バイバイをした。

さよならを言ったら涙がでるから、バイバイで手だけを振った。

普通列車はゆっくりと発車をした。

実はこの時、友人二人が突然途中の駅まで付き合うと言い出して、私は急遽3人で汽車に乗っていた。

特に予約をしていたワケではないので、途中の駅で下車をして、私たちは喫茶店で少しだけ話をして、そして別れた。

この気の置けない、感情の高ぶらない、ありがたい存在が別れの寂寥感をかなり減らしてくれたように思う。

そして、この友人たちとも別れた。

札幌に向けて、L特急に乗った。初めてのL特急だった。

指定席の券は購入していないので、私は連結のデッキ部分に立って、ぼんやりと外を見ていた。

このいっぺんの別れは、本当のことだろうかと思っていた。

もしかして、すぐにでもまたあの町に戻って、友人たちとの生活があるのかもしれない。

そんな事も考えていた。

ぼんやり、この現実と向かい合っているときに車掌さんが通った。

「指定席券、持ってないの?」

買っていない旨を伝えると、札幌までの空席の番号を教えてくれて、その席に座って行きなさいと言ってくれた。

小一時間立っていることは別に苦ではないので、断ったのだが、車掌さんはまた勧めてくれた。

厚意に甘えることにして、その席についた。

隣はOLさんのようだった。

窓側の席だったので、今日の半日のことと、これまでのことをあれこれと考えていた。

急に胸がいっぱいになって、涙が溢れる。

駅で見送ってくれた、顔、顔、顔。

とめどなく涙があふれる。

ハンカチなど使わず、そのまま怒涛のように涙を流した。

あの時の私は、まさしく、親元から札幌に出る18歳の少女だったのだろう。

車掌さんも、お隣のOLさんもそう思って、私を放置してくれたのだろう。

あの時、泣きながら車窓に追ったものは、私のなごり雪だった。

歌のようだな。

そんな事を思った。

歌のように、春になって私はきれいになっただろうか。

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