私は近所のスーパーでバイトをしている。
もう、3年たち、4年目に入った。
信じられない。
すぐ辞めようって思ったのに(もちろん、理由はある)
小規模のスーパーだけれど、人員は100人前後はいると思う。
その中で、社員は3割くらいだろうか。
あとは、北海道最低賃金で働いている私たちである。
仕事は、本当に忙しい。
こんなに忙しいスーパーってあるの?っていつも思う。
それは、まぎれもなく、このスーパーが地域にひとつしかないからである。
唯一無二。徒歩ではここしか買い物ができない。
だから、夕方の混みようは、すこし殺人的でもある。
地下鉄の仕事帰りの人がもれなく店舗に入る。

ただでさえ忙しい極みなのに、会社が要求する接客や、次から次へと現れる電子マネーなどの金銭授受に関する知識は、賃金をはるかに超えているといつも思っている。
賃金は法律に触れないほどに抑えながら、目いっぱい働け…(笑)
あれやれ、これやれと、まぁ、良く出てくる。
と、書いたけれど、実は私はそんなに賃金にこだわってはいない。
結局、どこであっても似たり寄ったりだし。
ただ、最低賃金は守り続けるのに、設備投資は一切しない(備品も)、ボロボロを貫きながら、清掃もしない。
この姿勢は、一体、なにに胡坐をかいているのか、いつも不思議に思う。
ただ、接客業であることにこだわり、爽やかでいようとする会社の方針はわかる。
どんなわがままな客であろうが、理不尽であろうが、お客様が正しい…
これで貫いているのは、むしろ滑稽で、それでも良いと思っている。
それが生き残る方策としている営業の方針なんだろうから。
いつまでも、そうでいるといいと思う。
そうして、ますます横暴な客を作っていけば良いと思う。

「この人はどうしていつも不機嫌なのだろう」
そう思わせる常連客が数人いる。
軽い不機嫌はたくさんいる。数えきれない。
その中でも、スペシャルに不機嫌な人。
何か、いいがかりをつけるワケではないけれど、かけた声に応えることは一切ない。
不機嫌を貫いて、去ってゆく。
この人でも、笑うことってあるのだろうか…。
そんなことを、つい思ってしまう。
どうでもいいことなんだけど、一度は見てみたいと思ってしまう。
おそらく、ここ以外では笑っているのだろう。
ここで、笑うのはもったいないのだろう。
つい先日、私は「Off」であることに気がついた。
ほとんどの人が、この場所では「Off」なのだと。
Offでいながら、並ぶ時間が長ければ、不機嫌にもなる。
ただ、上記に書いた不機嫌な神様は、混む時間には来店をしない。
のんびりゆっくりタイムの夜に来る人だ。
Offでいるから、表情筋は使わない。
外で散々喜怒哀楽を出し、愛想笑いをしてきたのだから、地下鉄を降りたスーパーではもう顔を崩す必要なんかない。
なんなら、声を出す必要もない。
聞かれたら、コクンと頷けばそれで済む。
そんな事なんだろうと思った。
そうか、Offなんだなぁ。
Offの人に、人間としての対等を求めるのが土台無理なことなんだ。
こちらは仕事中の、バリバリ「ON」なのだから。
やっと世間から解放をされて、身も心もOffになれたのだから、ここで気を使う必要なんかない。
それに気がついた。
そう思うと、途端に合点がいく。
自分のOffタイムで、当てはまる点もある。
そんな中でも、気を使って礼を言ってくださる人もいる。
若い人に多い。
若いカップルに、Offはあまりいない。
このOffタイムに気を使える人は、本当に神様かと思う。
人生回数の多い、一歩先を行く人かと思っている。
無表情だけど、こちらの声かけに、一瞬だけ相好を崩す人もいる。
こういう人も神様に見える。
そんな人の方が、余程人間が出来ているだけで、ほとんどの人はOffなだけなんだ。
そう思うと、気も楽になるし、なんだか可愛くさえ思える。
何故人はレジで不機嫌になるのか…
ひとつ自分なりの答えが見えて、何だか嬉しい。
嬉しいと同時に、私自身のOffタイム、せいぜい半Offくらいになるよう精進しなければ…
と、思う。
